ブランドコンセプトを設計する方法:「良いコンセプトとは何か?」

クリエイティブプロデュースや戦略デザインを専門として活動している、ヨコタナオヤと申します。

「コンセプト × 戦略 × デザイン」の視点から、スタートアップや成長企業の皆様の「新規事業開発」「ブランディング」「戦略設計」などをお手伝いする中で、お客様からいただく質問や気づいたことをまとめて、新規事業開発担当の方や経営者の皆様に役立ちそうな情報としてお届けしています。

※本記事 【ブランドコンセプトを設計する方法:「良いコンセプトとは何か?」】は「B2Bブランディング, B2Cマーケティング, コンセプト設計, ゴールデンサークル, バリュープロポジション, ブランディング, ブランドアイデンティティ, ブランドコンセプト, ブランドストーリー, ブランド戦略, マーケティング戦略, 企業ブランディング」に関する記事となっております。(記事カテゴリ: コンセプト・アイデンティティ設計

ブランドコンセプトとは、企業や商品のブランド価値や使命を一言で表現したものです。簡単に言えば、ブランドが「顧客にどんな価値を提供し、社会にどんな役割を果たすのか」を端的に示す言葉です​。例えばロゴやスローガンのような見た目の要素ではなく、ブランドの中核にあるアイデアそのものを言語化した概念と言えます。明確なブランドコンセプトがあれば、社内外にブランドの方向性を示し、ブレないメッセージ発信が可能になります。

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目次

良いブランドコンセプトの条件

では、効果的なブランドコンセプトを作るにはどんなポイントに気を付ければよいでしょうか。以下のような条件を満たすコンセプトが望ましいとされています。

  • 分かりやすく簡潔であること: 奇をてらう表現よりも、誰にでも理解できる平易で短い表現が重要です。業界用語や造語は人によって解釈が異なるため避け、シンプルな言葉でまとめます。
  • 独自性があること: 他社にはない自社ならではの価値を盛り込むことが不可欠です。競合と似た表現では差別化できないため、自社ブランドの本質的な強みが伝わる内容にしましょう。
  • 顧客や社会のニーズに応えていること: ブランドコンセプトには、ターゲット顧客の悩みをどう解決し、どんな願望を実現するかを反映させます。また必要に応じて、社会全体の要請(潜在的なニーズ)に応える視点も含めましょう​。こうしたニーズに合致していれば、共感と支持を得やすいコンセプトになります。

ブランドコンセプトの設計方法(実践プロセス)

次に、実際にブランドコンセプトを設計する際の基本的なプロセスを解説します。以下のステップに沿って検討すると、自社の魅力を的確に捉えたコンセプトを導き出しやすくなります。

  1. 現状を把握する(市場分析): まず自社ブランドを取り巻く現状を調査します。業界の市場動向、自社の市場ポジション、競合他社の状況、自社の強み・弱みなどを分析し、現状を把握します。客観的なデータに基づき、自社がおかれている立ち位置を明確にしましょう。
  2. ターゲットを明確にする: 続いて、どのような人(顧客層)に価値を届けたいかターゲットを設定します。年齢・性別・ライフスタイルといった基本属性だけでなく、嗜好や悩み、ニーズなど内面的な要素までできるだけ具体的に考えます。誰に提供するブランドなのかをクリアにすることが重要です。
  3. 提供価値を洗い出す: ターゲットに対して自社が提供できる価値(ベネフィット)は何かを整理します​。競合では真似できない自社独自の強みはどこにあるのか、商品・サービスが顧客のどんな課題を解決できるのかを書き出します。必要に応じて、商品・サービスが社会にもたらす意義(新たな市場創造や未来への貢献など)も検討しましょう。
  4. ブランドストーリーを考える: ブランド誕生の背景や込められた想いなど、ストーリー要素を掘り下げます​。商品の開発経緯や創業の物語、社名の由来など、そのブランドならではの歴史やエピソードを整理しまとめます。ストーリーがあることでブランドの独自性に厚みが増し、コンセプトにも説得力が生まれます。
  5. コンセプトを言語化しブラッシュアップする: 上記で洗い出した価値やストーリーのキーワードを抽出し、シンプルな一文にまとめます。最初はラフな案でも構いませんので、一度言葉にしてみます。その後、関係者でチェックし、「自社の価値を端的に伝えているか」「誤解の余地はないか」といった観点で推敲します。表現を磨き上げていくことで、より洗練されたブランドコンセプトに仕上げていきます。

上記ステップを経ることで、自社の強みとお客様のニーズを踏まえた軸のあるブランドコンセプトを策定できます。

具体的な事例紹介(国内企業の成功事例)

実際に国内企業が打ち出しているブランドコンセプトの成功事例をいくつか見てみましょう。それぞれのコンセプトが、ブランドの特徴や提供価値を端的に表現しています。

「10分のみだしなみ」QBハウス

忙しいビジネスパーソン向けに全国展開するヘアカット専門店QBハウスは、ブランドコンセプトに「10分のみだしなみ」を掲げています。予約なし・低価格で10分間で身だしなみを整えられるという独自のサービス価値を一言で表したものです​。実際、「短い隙間時間で手軽に髪を整えたい」というターゲットのニーズに応えるブランドであることを端的に伝え、成功を収めています。

「A LIFE OF COLOR 好きな『いろ』で生きよう。笑おう。」Francfranc

インテリア雑貨ブランドのFrancfranc(フランフラン)は、「A LIFE OF COLOR 好きな『いろ』で生きよう。笑おう。」というコンセプトを打ち出しています。シンプルな色味の家具が主流だった時代に、あえて色とりどりの家具や雑貨を提案することで、「本当に好きな色に囲まれて暮らそう」というライフスタイルを提唱しました​。このコンセプトは、一人ひとりのお気に入りの色を届けて毎日を笑顔にしたいというブランドの想いを表現しており、同社の独自性につながっています。

「着る人の生活をより豊かにする服」ユニクロ(LifeWear)

大手アパレルのユニクロは、「LifeWear(ライフウェア)」というブランドコンセプトのもと商品展開を行っています。これは『着る人の生活をより豊かにする服』という理念であり、シンプルで上質、細部まで工夫が凝らされた日常着を追求するコンセプトです​。実際にユニクロでは、季節ごとの生活ニーズに合わせた機能的なベーシックウェアを提供し続けており、このLifeWearの考え方がブランド戦略の核になっています。

コンセプトを実際に活用する方法

せっかく策定したブランドコンセプトは、社内外で積極的に活用し浸透させることが大切です。ここでは、社内での活用法と社外への発信方法に分けてポイントを紹介します。

社内でコンセプトを活用する

ブランドコンセプトは社内共有することで、社員一人ひとりがブランドの方向性を理解・共感できます。コンセプトを軸に商品開発やマーケティング戦略を立案すれば、一貫性のあるブランド体験を提供できるでしょう。また、従業員研修や企業理念の中にコンセプトの要素を組み込むことで、日々の業務で社員がその価値観を体現できるようになります。社内の意思統一が図られることで、ブレないブランディング活動につながります。

社外にコンセプトを発信する

対外的には、あらゆる顧客接点でブランドコンセプトを表現していきます。Webサイトではコンセプトを反映したメッセージやビジュアルを打ち出し、訪れたユーザーにブランドの世界観を伝えます​。パンフレットやカタログでは紙媒体の強みを活かし、コンセプトにまつわるストーリーや製品の魅力を深く伝えることができます​。さらに映像(CMやSNS動画)では、視覚・聴覚に訴える表現でコンセプトの持つ雰囲気や物語性を感じてもらうことが可能です​。このように複数のチャネルで統一されたメッセージを発信し続けることで、顧客にブランドの価値観が浸透し、ファンづくりにつながります。

フレームワークの簡単な紹介(ゴールデンサークル、バリュープロポジションキャンバス)

最後に、ブランドコンセプトを考える際に役立つ代表的なフレームワークを2つ紹介します。

ゴールデンサークル理論

ゴールデンサークル理論は、サイモン・シネック氏が提唱したフレームワークで、「Why(なぜ)→How(どのように)→What(何を)」の順序で物事を語ることで相手の共感を得るという考え方です​。人は理由や使命(Why)から語りかけられると感情に訴えられ行動を起こしやすくなるため、ブランドコンセプト策定でもまず自社はなぜそれを行うのか(存在意義)を明確にすることが重要だと示しています。例えばアップル社は製品説明を常に「なぜこの商品を開発したのか」から始め、ブランドへの共感を生んでいるとされています。

バリュープロポジションキャンバス

バリュープロポジションキャンバスは、顧客のニーズと自社提供価値のズレを無くすためのフレームワークです​。一枚のシートに「顧客がやりたいこと(ジョブ)・抱えている不満や課題(ペイン)・求めるメリット(ゲイン)」と、「自社の商品・サービスが解決できること(ペインの解消)・提供できる価値(ゲインの提供)」を書き出し、両者のマッチングを図ります。これによって、自社が提供すべき価値が明確化され、ひいては顧客に響くブランドコンセプトを練る土台となります。バリュープロポジションキャンバスを活用することで、自社の価値提案が的外れになっていないか検証し、より顧客視点に合ったコンセプトづくりに役立てることができます。

まとめ

ブランドコンセプトは、ブランドの核となる価値を表す羅針盤です。明確で的確なコンセプトを定め、それに基づいてブランディングを行えば、社内の方向性が揃い、社外には一貫したメッセージが伝わるようになります。その結果、顧客からの共感を得てファンを増やし、競合には真似できない強いブランドを築くことができるでしょう。ぜひ本記事で紹介したプロセスや事例、フレームワークを参考に、自社ならではのブランドコンセプトを設計してみてください。


参考文献:

  • ブランドコンセプトとは?作り方や作成のポイント、事例を紹介 – TOPPANクロレ株式会社 【【4†L111-L118】​toppan-colorer.co.jp】(https://www.toppan-colorer.co.jp/column/4349)
  • ブランドコンセプトとは?作り方やポイントを解説 – アスマーク 【【9†L13-L20】​asmarq.co.jp】(https://www.asmarq.co.jp/column/column-cat/glossary/branding2/brand_concept/)
  • 「生活する服」ユニクロLifeWearの革新的な理念とは?人々の生活に寄り添う進化し続けるコンセプト – Style Journey 【【32†L1-L4】】(https://stylejourney.website/uniqlo-lifewear-brand-description/)
  • ゴールデンサークル理論とは|マーケティングに活用する方法も解説 – リデライズジャパン 【【33†L125-L127】】(https://www.ida-web.com/rederisejapan/remedia/golden_circle/)
  • バリュープロポジションキャンバス(VPC)の重要性と作り方、事例を解説 – MarkeTRUNK 【【30†L94-L97】】(https://www.profuture.co.jp/mk/column/7431)

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この記事を書いた人

ヨコタナオヤのアバター ヨコタナオヤ Creative Producer / Strategic Designer

1990年生まれ、大阪府交野市出身。東京・文京区在住。元植木屋。
「戦略 × デザイン」 の視点を活かし、多様な業界の新規事業開発・ブランディング・マーケティング・プロダクト開発に携わる。ブランドのアイデンティティ構築や戦略設計、特別化を軸にした事業成長の仕組みづくりを得意とする。
スタートアップから大手企業まで、事業戦略の策定から実装支援まで一貫して伴走し、ブランドストーリーの構築、プロダクト開発、デジタルマーケティング戦略を手掛け、持続可能な成長をサポート。
また、合同会社コラレイトデザインの代表としてビジュアルデザイン・Web制作・マーケティング支援を行うほか、一般社団法人社会構想デザイン機構では、社会課題にフォーカスしたクリエイティブアプローチにも積極的に取り組む。

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