背景と課題
現代アートプロジェクト「黙想 (mokusou.)」は、アジアのアートイベント「100+ Asia Art Season」に出展するインスタレーション作品です。「静寂と内省」をテーマにした芸術体験でありながら、賑やかな展示会場内で如何にその世界観へ没入させるかが課題でした。限られたブース空間で来場者に「立ち止まって心を落ち着ける瞬間」を提供するため、空間デザインと視覚演出の両面から工夫が必要でした。また、アート作品自体の魅力を引き立てつつ、安全かつスムーズに体験してもらう導線設計も求められました。
プロジェクトのプロセス(戦略策定〜実行支援)
- コンセプト共有と空間プランニング: アーティストとの打ち合わせを重ね、作品の意図する体験イメージを詳細にヒアリングしました。「まるで時間が止まったような静けさ」を感じてもらうため、ブース内に一歩入ると外音を遮断し照明を落とす演出プランを策定しました。レイアウト図を作成し、鑑賞動線や滞留スペースを検討、来場者が直感的に入りやすく出やすい配置を設計しました。
- デザイン制作: ブース全体のビジュアルトーンを決めるため、床・壁・天井の素材や色合いを選定しました。柔らかな暗色系の布と木材を組み合わせた内装とし、触覚的にも「静」を感じられる空間にしています。入口には控えめなサイズでロゴ「黙想」を配置し、中に足を踏み入れると徐々に暗転していく照明システムを設置しました。また、作品解説パネルやパンフレットもデザインし、余計な装飾を排したミニマルなタイポグラフィで世界観を壊さないよう留意しました。
- 施工・実行支援: 現地施工チームと連携し、デザイン通りにブースを組み上げました。遠隔地での開催だったためオンラインで進捗確認を行い、細部の質感や照明の当たり具合なども写真と動画でチェックしながら調整しました。会期中は急なトラブルに備えてサポートスタッフを配置し、来場者アンケートの収集方法についても提案するなど、展示運営面でも伴走支援しました。
成果とクライアントの声
完成した「黙想」ブースはアートイベント会場の中でひときわ異彩を放ち、訪れた人々に短い瞑想体験を提供する空間となりました。ブースに入った瞬間に音が静まり暗がりに包まれる演出は多くの来場者に強い印象を与え、「まるで別世界に踏み込んだよう」「心が落ち着く不思議な空間だった」とSNS上でも話題になりました。主催者からも「コンセプトを見事に体現した展示」と評価され、アーティスト本人からは「デザインの力で作品のメッセージが倍増しました。コラレイトデザインと共創できて本当に良かった」との感想が寄せられました。このプロジェクトを通じて、空間デザイン×ブランディングの専門性を発揮し、文化・芸術分野でも価値創出に貢献できた事例となりました。