背景と課題
スタートアップ企業の株式会社美徳は、「肌にやさしすぎる美容液」をコンセプトに新スキンケアブランド「BITOKU」の立ち上げを計画していました。発酵由来成分や低刺激処方など製品の強みはあるものの、競合ひしめく美容業界でブランドの世界観を確立し、消費者に信頼感を与えることが課題でした。そこで製品コンセプトを体現するブランディングと、初回製品「オーセンティックセラム ‘Moment’」発売に向けたクリエイティブ支援が求められました。また、ブランド名「美徳」に込めた「誠実さ」や「本質を追求する姿勢」をデザインと言葉で表現し、市場に印象付ける必要がありました。
プロジェクトのプロセス(戦略策定〜実行支援)
- ブランドコンセプト定義: クライアントと共に複数回のブランディングセッションを実施し、ブランドの使命や価値観を言語化しました。「美徳=内面からにじみ出る美しさ」というテーマを掲げ、製品開発ストーリーやターゲット像(自分の肌と向き合うことを大切にする30代女性など)を明確にしました。
- ネーミングとストーリー開発: フラッグシップ商品に「Moment(モーメント)」という名称を提案しました。日々のスキンケア時間を大切なひととき=モーメントと捉え、使うたび自己と向き合う瞬間になるようにとの願いを込めました。同時にブランドストーリーを文章化し、ウェブサイトやパンフレットで伝える物語要素を整えました。
- ビジュアルデザイン: ロゴはアルファベットで「BITOKU」と表記し、凛とした中にも柔らかさのあるタイポグラフィに仕上げました。カラーパレットは深みのある黒と自然を感じさせるアクセントカラーを採用し、高級感とオーガニックな優しさを両立させています。パッケージデザインでは、黒い特殊紙に有機的な曲線の型押しとジッパーの開封ギミックを施した独自性の高い箱を開発しました。これは製品を開封する瞬間を演出し、ユーザーに驚きと高揚感を提供します。
- ローンチキャンペーン支援: 発売に合わせてMakuakeでの先行販売キャンペーンを企画・制作しました。プロジェクトページには商品の開発背景やこだわり、使用方法の動画などコンテンツを充実させ、閲覧者がブランドの想いに触れて購入を検討できる構成にしました。
成果とクライアントの声
「BITOKU」ブランドはローンチ直後からコアな美容ファンの注目を集め、Makuakeでの先行販売も盛況のうちに終了しました。特にパッケージデザインは購入者から「まるでアートピース」「開封する時間が特別な儀式になる」と高く評価され、業界誌『紙工通信』にも製作事例として掲載されました【※参考:福永紙工による事例紹介】。また、本プロダクトは日本パッケージデザイン大賞にもエントリーされ、ブランドストーリーとデザインの統合が評価されつつあります。クライアントからは「ゼロから構築した世界観がここまで洗練された形で具現化され驚いています。ユーザーからの反応を見るたび、ブランディングの重要性を実感しました」との言葉をいただき、新興ブランドの市場参入を支える包括的な支援となりました。